2016年5月25日(水)
<落石ネイチャークルーズ(AM便)> Byイーグル
今日はドイツからのご夫婦2名様をご案内いたしました。2名で3人分の乗船料を支払うということで、クルーズ運航が成立したものです。
前半はミズナギドリの比較的大きな群れに遭遇したり、ウミスズメ、ウトウ、ケイマフリとターゲットバードが次々と現れ、順調な滑り出しでした。波は少し高めでしたが、お客様も笑顔でミズナギドリの大群に歓声を上げるなど、ご満足していただけている様子でした。
ところが、エトピリカのポイントの少し手前で、天候が急変。雨雲が通過した後、強風が吹き始めました。波も急に激しいものになってきました。あと少しで、エトピリカポイント!はるばる欧州からいらっしゃったお客様です。何とかトライしたい! かといって、安全運航が第一です。
秒単位で天候は急変。事態は予断を許さない雰囲気になってきました。突然、お客様のお一人が船酔いでダウン。これは、躊躇している場合ではありません。素早くクルーズの「途中中止」を決断し、港へ船を戻すことにしました。
港へ戻るまでの間、波浪・風雨の状況は悪化するのみ。お客様も寒さに震え始めました。
港への航路が普段の2-3倍の長さに感じました。
いつの間にか、お客様の顔からも、私や船長さんの顔からも、笑顔が消えています。
船酔いでダウンしたお客様を小さなキャビンに入れ、腕をさすり、大声で励ましながら、何とか無事に落石港に帰港いたしました。
帰港後、取るものも取りえず、お客様をエトピリ館に急いで輸送。あらかじめ連絡しておいた休憩コーナーで温かいストーブに当たっていただきました。接岸からわずか1分でストーブへ移動。ここは落石ネイチャークルーズ自慢の「チームワーク」の良さのなせる業です。
ほどなく、温かい日本茶を口にしたお客様も元気になられました。ほっといたしました。
結果はOKでしたが、反省点が残るクルーズとなりました。
天候の急変が原因とは言え、プロとして運航中止判断の時期は適切であったか? エトピリカをお見せしたいというガイドとしての気持ちが強すぎることはなかったのか? お客様の服装や手袋・靴などに関する事前チェックは十分であったか? 初乗船者に対する安全確保や服装に関する強い説明・説得が果して十分であったか? 天候の急変は本当に予測できなかったのか?
などなど。。
安全運航は絶対の使命です。どんなに準備していても、どんなに注意を払っていても、自然が相手の観光では、不測の事態が起こったり、読みが外れることがあると思います。
そのような場合でも、言いわけ無用です。プロとして如何にリカバリーし、安全運航を確保すべきか?
航空機の安全運航哲学の1つである「フェイル・セイフ」などのクルーズへの応用なども必要かもしれません。
今日のクルーズで落石ネイチャークルーズ事業は7年目に突入いたしました。
この辺で、初心に戻り、改めて安全運航に対する意識を高め、基本事項の再認識・再確認を怠ってはならない事を関係者全員が肝に銘ずる必要があると思いました。
今日は本当に勉強になる厳しいクルーズでした。
【観察種】 **運航中止などにより、かなりの見落としがあります。
シロエリオオハム
ミズナギドリsp(200+)
ウミウ
ヒメウ
ウミネコ
オオセグロカモメ
スズガモ
ケイマフリ(20+)
ウミスズメ(4)
ウトウ(50+)
マダラウミスズメ(1) *写真ナシ。港に特急で戻っている最中に、船べり至近距離で確認。皮肉なものです。「こういう時に出るか!」といまいましい気分になりました。尚、本クルーズでマダラウミスズメをはっきり確認できたのは今回が初めてだと思われます。
ミズナギドリsp
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